2010年度 理事長所信

はじめに


第48代理事長
吉田 尚弘

 「鉄は熱いうちに打て」私は両親の仕事柄、物心付いた子どもの頃から鉄に携わってきました。本当に硬い鉄でも高熱で熱せれば粘土のように軟らかく、どんな形にもなります。このことわざの通り私たち青年会議所は20才から40才までの制限年齢の中で品格ある青年として「若さ」と「力」がある今だからこそ、今しかできないことを勇気と熱い情熱を持って、明るい豊かな社会の実現に向かって行動しなければなりません。
 各自が常に目的意識(最終到達地点)を持って行動することができる団体、言い換えれば目標(標・しるべ)をしっかり立て、目的(的・まと)を実現することができる団体が私たち青年会議所なのです。
 その標にあたるものが(社)伊勢崎青年会議所運動指針です。「人づくりこそがまちづくりの礎となるものである。まちづくりのできる人を育成することは将来のまちをつくることである」この指針の通り、まちづくりは継続的なものであり、我々はJC運動の的である明るい豊かなまちづくりの実現に向かって常に運動し続けなければなりません。

伊勢崎JCメンバーとしての誇り

 私たちには利益を求めず公益法人として責任と誇りを持ち続け、47年間の輝かしい歴史と共に引き継がれた多くの伝統があります。そして途切れることなく、共に力を合わせ同じ道へ進んでいける多くの同志がいるのです。それが我々(社)伊勢崎青年会議所なのです。私は伊勢崎を愛す地域住民として、自分の住んでいるまちを少しでも良くしようとする志があるならば、時間を惜しまず活動することは必然だと思います。それはJCでなくともできると言う方もいるのかもしれませんが「志を同じうする者、相集い、力を合わせ」と綱領にもあるように、私たちには長年、多くの諸先輩方が力を合わせ築き上げてきた素晴らしいまちづくりを継承し後世に伝える使命があるのです。そして私たちは日々、仕事や家庭の大事な時間を割いて、まちづくりのことを真剣に考え協議し、必ずまちづくりのために活動している自信と誇りがあるはずです。一歩一歩積み重ねられた宝と言うべき誇りを持って、今後も全メンバーで歩んでいくのです。

公益社団法人格申請に向けて

 ご存知の通り2008年12月1日より新しい公益法人制度改革が施行されました。我々(社)伊勢崎青年会議所は2010年度9月定時総会にて決議されました公益社団法人格取得に向け本格的なスタートをきります。公益社団法人か、一般社団法人かを全メンバーが悩み模索し勇気を持って決断に至りましたことを肝に銘じ、本年度は定款改正や各規定の見直しを含め公益事業比率の問題を明確にし、公益社団法人格申請に対応しうるだけの万全な体制を整え、公益社団法人格取得に向けて2012年度へ円滑な引き継ぎを行います。しかし、公益社団法人格移行申請手続きは難を極める上、2013年11月30日までに申請手続きを済ませ移行しなくてはならないという時間的な制約もあります。2011年度はメンバー一丸となって公益社団法人へのスムーズな移行を目指します。

自己啓発でスキルアップ

 スキル(skill)とは獲得可能な技能や能力のことです。今は何につけてもスキルアップの重要性がうたわれていますが、多くは技能、能力向上の目的として、役立つ資格を取ることや何か技術を身につけることだと思っている人も多いと思います。確かに役立つ資格を取る、技術を身につけることはスキルアップに繋がります。しかし資格や技術を持っていなくても、スキルとして求められており、一般的に広く認められているモチベーションやコミュニケーション能力の向上なども重要です。コミュニケーションなどによって能力を引き出す技能やコーチングを行う側の教育技能は青年会議所運動には必要不可欠だと感じます。そして、地域住民を巻き込んでスキルを共に高め合い、他人と十分に意思の疎通を図ることが出来る人材開発をすることが今、(社)伊勢崎青年会議所で求められていることです。また、私たち青年会議所メンバーは青年経済人であり多忙な時間を割いて日々JC活動をしています。だからと言って決して仕事や家庭を疎かにするべきではないのです。それにはまず、時間の作り方、使い方を身につけなければいけません。限られた時間を有効に使うことができる能力も青年経済人として学ぶべきことです。そのためにはメンバー各自の自己啓発が必要です。自分の意思で自分自身のスキルを向上させ精神的な成長を目指し、できないと思うネガティブな殻を破り、己の限界を決めつけず、常に挑戦する心構えを持って、仕事にJCにスキルアップを意識していくことが重要なのです。

未来へ羽ばたくまちづくり

 約65年前の伊勢崎空襲をご存知でしょうか。「1945年8月14日深夜から翌8月15日未明にかけて群馬県伊勢崎市とその周辺地域が受けた米軍による空襲。太平洋戦争において秋田県秋田市の秋田・土崎空襲と並んで米軍最後の日本本土空襲となった。」伊勢崎市に住んでいながら私たちのほとんどが当時の凄まじさ、苦難を知らないまま日々生活しています。それから約65年の歳月が経ちますが、ここまで多くのまちづくりが行われてきました。生きるために、伊勢崎復興のために多くの住民が立ち上がり、未来の希望を信じて再建したはずです。先人への感謝の念を込めて、私たちも負けない強い意志を持って今日のまちづくりをしなくてはなりません。まちづくりに明確な定義はありませんが主に都市開発や地域社会の活性化、地域が抱えている問題点・課題点の解決を図るプロセスなどがあります。その中で今、必要なのは子どもからお年寄りまで安心して暮らせる人情溢れるまちづくりです。デジタル化が進み仲の良い友達とでさえ直接会話する機会も減少し、家族交流や親睦の意味合いのあった井戸端会議などの近所付き合いも少なくなりました。本年度は地域住民と、あるいは行政と協働し、さらなる伊勢崎の活性化を求め活動致します。また、まちづくりに必要な事業として、我々(社)伊勢崎青年会議所は、地域住民の求めていることを模索しながら全メンバー一致団結しておまつり広場の設営に挑みます。そして、未来に向け地域住民を巻き込んだ「まちおこし」も必要だと考えます。それは1つのことに向かっていく熱意と達成感の共有こそが伊勢崎の活性化への起爆剤となり、挑戦する意気込みこそが未来へ羽ばたくまちづくりの第一歩だからです。

笑顔ある子どもと大人の共育

 地球温暖化や自然環境破壊の問題、昨今では熱帯化が進み、これからの子どもの世代や未来はどうなってしまうのでしょうか。子どもを持つ親として心配なのは私だけではないでしょう。私が子どもの頃は、川は魚や昆虫など多くの生物がいる素晴らしい学びの場でした。今ではどうでしょう。危険だから、汚いからと川で遊ぶことさえ懸念されている現状です。こんな状況にしてしまったのは大人です。高性能なゲームを買い与えただけで、子ども本来の姿である元気よく外で遊ぶ時間を減らしているのも私たち大人なのです。小さな頃から植えつけられたバーチャルな世界は非常に危険です。リセットボタンで消去できる世界は実在しないのですから。目で見て耳で聞いて手で触って感じることの素晴らしさを伝え、子どもの無邪気な笑顔とたくましい童心を取り戻さなくてはいけません。
 時折、かけがえのない子どものいのち生命が奪われてしまう事件や自ら尊い生命を絶ってしまうニュースを耳にして胸を痛めます。「かけがえのない」とは一人の人間が、この時代に、この場所で、この両親から生まれる確率が奇跡的であるということです。子どもの親を20代前まで遡っていくと約210万人の親がいたことになり、時代、場所的要素を考えてもまさに奇跡的な確率と言えます。人は生まれてからこれまで、また、これからも一人では決して生きていくことができません。そして、自分の生命は決して自分だけのものではなく、家族や周囲の人にとってもかけがえのないものなのです。生命があるということ、生きていくということは、愛情や喜びを知ることです。子どもにはひとつでも多く、この世界にあふれている愛情を感じ、生まれてきた喜びに気づいて欲しいと思います。そうすることで心が豊かになり、いじめや虐待、尊い生命が絶たれることのない日が来ることと信じています。また、家族の絆を通して生命の尊さを理解し、一人ひとりのかけがえのない生命をいかして地域や社会に貢献できる生き方をすることこそ、幸せで豊かな生き方に繋がります。そのような生き方を求めて自分の生命を輝かせるために、思いやりと笑顔ある子どもたちになることを切に願います。子どもの無邪気な笑顔は幸せの証しです。大人の笑顔を見ると子どもは安らぎ、安堵することが平和の証しなのです。

会員拡大の方向性

 私たちの住む伊勢崎市の20才から40才までの人口は約57,000人です。青年会議所で定められている制限年齢の中でも、これだけ多くの人が伊勢崎市には在住しています。そして在学、在勤を含めればさらに多くの人々が存在し未知なる可能性を秘めています。私たちがこれからも、そして今以上に明るい豊かなまちづくりを進めるためには多くの責任感ある熱い志を持った同志が必要不可欠です。しかし会員の拡大を進めるには我々全メンバーが誇りを持ち、JC運動をする意義を各自が持たなくてはなりません。また、これからも今まで以上に旧伊勢崎地区だけではなく、赤堀、東、境及び周辺地域との連携強化は必須です。それは会員拡大の道筋から大きな希望が持てると共に、そこにはまだ、日々一緒に活動していただける多くの同志がいるはずだからです。本年度は全メンバーが会員拡大担当者であり全メンバーで会員の拡大を積極的に実行致します。

結びに

 1年を通じ、全メンバーに真の自信を持っていただきたい。自信とは常に前向きに行動した経験から得るものです。自信がないと思うのは挑戦する決意と、熱意から生まれる経験が足らないからなのです。それは「できるのか、できないのか」と閉ざすのではなく「やるべきこと、やらなくてはならないこと」へ進む前向きな強い魂が重要なのです。
 2011年度は(社)伊勢崎青年会議所にとって大きな飛躍となる1年になります。公益社団法人へ歩み、そして半世紀の節目である50周年に向け、変革の足掛かりとして全力で邁進していきます。
 第48代(社)伊勢崎青年会議所理事長として、誠心誠意全力で努めてまいります。メンバー諸兄の皆様にはご協力、ご鞭撻を切にお願い申しあげまして理事長所信とさせていただきます。どうぞ宜しくお願い致します。