
第63代 理事長
正田 太規
【はじめに】
私が青年会議所と出会ったのは、20歳のときでした。当時の東京青年会議所メンバーから「地域貢献と自己成長のため、地元で青年会議所に入会すべきだ」と勧められたことがきっかけです。その時は、青年会議所がどのような活動を行う団体なのかもわからず、ただ漠然とその言葉を受け止めていました。
そして、人とのつながりを築きながら自分を成長させたいという思いが芽生え、2014年に伊勢崎青年会議所へ入会しました。入会当初はこんなにも大人が真剣に地域や子どもたちの未来について議論している姿に、心が動かされ、強く惹かれるものがありました。その時に感じた気持ちを胸に活動を続け、今年度13年目を迎えます。そして、伊勢崎青年会議所の中で役職を任せてもらう機会をいただき、年度によっては日本青年会議所、関東地区協議会、群馬ブロック協議会と、さまざまな場所へ出向させていただくことができました。出向の依頼があれば積極的に挑戦し、新しい環境に身を置くことで自分自身が大きく成長できたと感じています。
こうした出向の経験を通じて、伊勢崎青年会議所の魅力を客観的に見つめ直すことができました。そして何よりも、私が安心して挑戦できたのは、組織を支えてくれる素晴らしい仲間の存在があったからだと強く実感しています。
だからこそ今年度は、これまでの青年会議所運動で出会い、共に歩んできた仲間への感謝を胸に、この愛する伊勢崎のまちへ恩返しをする一年にしたいと強く決意しております。
【出席率の重要性】
私が入会してから間もないころ、出席率は60%以上を維持していました。その後、新型コロナウイルスの影響もあり徐々に出席率が低下しましたが、社会が従来の活動を取り戻し始めるにつれて、出席率は再び上昇傾向にあります。しかし、現状に満足することなくさらに向上させなければなりません。出席率は青年会議所運動の活力を測る指標の一つであり、その活力をさらに高めていくためにも改善が必要です。
私たちは、年初に年間の事業日を決定します。しかし、さまざまな事情で事業に最初から最後まで参加することが難しいメンバーもいます。全く参加できない場合、その年度の活動や仲間との関わりを実感できず、青年会議所に対する距離感が生まれてしまいます。だからこそ、たとえ短時間であっても出席することが重要です。短時間であっても事業の雰囲気を感じ、仲間とコミュニケーションを交わすことが、その後の参加意欲や帰属意識につながります。
かつて、出席率が高かった年度には、役員メンバーがメンバーに直接会って話をするなど、一人ひとりが「青年会議所運動を全員で展開する」という意識を強く持っていたと感じます。私は、青年会議所運動の面白さや意義は、実際に参加することでしか理解できないと強く信じています。だからこそ、青年会議所を知るためにも、活動に参加することが何よりも大切であり、その機会を提供することが2026年度役員メンバーの責務であると考えています。
活動に参加する理由はさまざまですが、その根底には共に活動する仲間や、自分が暮らす地域のために力になりたいという想いがあります。その想いは原動力となり、やがて家族や職場といった身近な環境にも良い影響を与えていきます。私自身も仲間と声を掛け合い、支え合い、挑戦を重ねてきました。その中で仲間が応えてくれる瞬間を数多く目にし、そのたびに参加する価値を強く実感してきました。こうした経験があるからこそ、私は伊勢崎青年会議所のメンバーを、心から信頼しています。
参加することの価値を改めて見つめ直し、青年会議所運動そのものが持つ魅力を最大限に引き出していきます。オンラインツールは効率的なコミュニケーション手段として欠かせませんが、画面越しでは伝わらない熱量や信頼関係は直接会うことでしか育まれません。委員会や事業において、顔を合わせ言葉を交わし、心を繋ぐことを最も大切にしていきます。役員メンバーが中心となり、一人ひとりの状況に寄り添いSNSでのやり取りだけではなく、直接会って語り合い互いの理解を深めてもらうように促していきます。
【会員拡大の必要性】
全国的に青年会議所は会員数の減少という厳しい現実に直面しています。伊勢崎青年会議所も例外ではなく、ピーク時と比べると会員数が減少し、このままの状況が続けば青年会議所運動の存続自体が困難になりかねません。青年会議所の使命は、まちの未来を担う人財を育成することです。その使命を果たすため、共に歩む仲間を増やし、組織の基盤を強化します。
さらに、会員拡大は単に人数を増やすことではありません。多様なバックグラウンドを持つ仲間が加わることで、新しい発想や視点が組織に生まれ、事業や運動の質を高める原動力となります。 また、幅広い層の会員が集うことで、地域とのネットワークが広がり、行政・企業・市民との連携がより一層強化されます。
伊勢崎青年会議所を維持していくためには人員の確保が欠かせませんが、それだけでは本質的な解決にはなりません。この活動を通じて得られる自己の成長、仲間と共に成し遂げる喜び、地域に果たす役割を次世代へと継承していくことこそが、会員拡大の本当の意義です。
そして、一人ひとりの参加意欲を最大限に引き出すことで、仲間は互いに高め合い、組織全体の力がさらに高まります。会員拡大とは単に会員数を増やすことではなく、青年会議所運動の価値を伊勢崎のまちに広げ、未来へとつなげていく行動そのものなのです。
【伊勢崎青年会議所メンバーに学びの場を】
青年会議所は「最後の学び舎」と言われており、私自身も、人格形成だけでなく、常に新しい知識を習得し、それを実践に結びつけていく場だと信じています。青年経済人として、私たちは常に新しい知識を学び、それを技術や仕組みに変え、社会に還元する責任があります。
ここ数年で、AIやIoTといった革新的な技術が普及し、日本全国の多くの企業がその活用を始めています。しかし、このような新しい知識や技術は、知ってはいるものの、日々の業務に追われる中で、自社の仕組みに落とし込むことは容易ではありません。
だからこそ、青年会議所は「学びの場」としての役割を最大限に発揮し、得た知識を事業や委員会での実践へとつなげ、成果を地域に還元していかなければなりません。その先にあるのは、企業の生産性向上、地域課題の解決、そして次代を担う人財の育成という、地域全体の持続的な発展です。失敗を恐れずに挑戦し、試行錯誤を重ねながら、時代に即した新しい取り組みを実行していきます。
青年会議所には、これまでのやり方を繰り返すだけで前進が止まってしまう場面もあります。だからこそ、受け継ぐ伝統は守りつつも、過去にとらわれず、新しい価値を生み出す挑戦を続ける文化を育てていきます。失敗してもやり直せる環境を整え、メンバーが常に変化を恐れず挑戦し続ける団体でありたいと考えています。
【共生とは何かを学ぶ】
伊勢崎市は、関東有数の工業集積地として、国内でも早い段階から多様な人々が共に暮らすまちを形成してきました。令和7年度12月時点の統計によれば、伊勢崎市の総人口211,773人のうち、約8%にあたる17,442人が外国籍住民であり、その出身国は60か国以上に及びます。これは県内でも最大規模であり、伊勢崎という地域がいかに多文化共生の最前線にあるかを示しています。(※1)
多文化共生が進むことのメリットは明白です。労働人口の確保による地域経済の活性化、税収の増加、人財の多様性拡大による社会の創造力向上、そして文化交流を通じた新たな価値の創出などが挙げられます。一方で、言語や文化の違いから生じる摩擦、教育現場での負担増加、生活習慣やマナーの相違によるトラブル、さらには外国籍住民の高齢化に伴う社会保障費の増大など、解決すべき課題も少なくありません。
私自身、学生時代に海外へ留学し、異なる言語・文化・価値観の中で生活した経験があります。日々の生活の中で当たり前だと思っていた価値観が通用しない場面に直面し、時に戸惑いながらも、互いの違いを理解しようとする姿勢が信頼関係を築く第一歩であることを身をもって学びました。この経験は、私が多文化共生の重要性を「理念」としてではなく、「実感」として語る大きな原点となっています。
私たちがまず取り組むべきは、すでに伊勢崎に暮らしている外国籍住民との相互理解を深めること、そして共に安心して生活できる環境を整えることです。そのためにも、日本の文化や伝統を知り、尊重してもらうことが大切です。 同時に、受け入れる側の市民もまた、異なる文化を理解し、歩み寄る姿勢を持ち続ける必要があります。
日本の文化は単なる伝統ではなく、私たちの誇りであり、この国の強みです。外国籍住民が和食や礼儀作法、地域の祭りや伝統行事に触れることで価値を見出し、地域社会への理解と共感を深めている事例も数多くあります。こうした交流の積み重ねが、互いを尊重し合い、誇りを持って暮らせる地域社会を育む力となります。
伊勢崎青年会議所は、地域を牽引する団体として、市民と外国籍住民が互いに学び合い、支え合える場を創出します。文化や価値観の違いを尊重しながら共に成長し、多様な価値観が共存する誰もが安心して暮らせる未来の伊勢崎を築いてまいります。
【いせさきまつりを活用した組織力向上】
いせさきまつりは1958年より開催されている伊勢崎市を代表する祭りの一つです。その中のおまつり広場は1980年より伊勢崎青年会議所が市から任され、青年会議所が主導して行う伝統ある最大規模の事業であり、毎年、市内外から多くの人々が訪れるまちの象徴的な取り組みでもあります。
この事業は、入会間もないメンバーにとっては登竜門ともいえる貴重な機会です、現場の責任を担うことで計画力・調整力・判断力を磨く貴重な経験の場です。任された役割をやり遂げる中で成長し、次のステップへと挑戦する人財が数多く生まれてきました。まさに人財育成の第一線が、このおまつり広場にあります。
青年会議所における組織力とは単に人数や規模の大きさで測れるものではありません。出席率や参加率の高さ、一人ひとりの実行力、任された役割を全うする責任感、仲間と共に学び成長する姿勢など総合的な力を指すものです。そして、その力を最大限に発揮するためには、一人ひとりが主体的に関わることが欠かせません。主体的に関わることで事業を自分ごととして捉え、積極的に意見を出し、行動へと移す姿勢が生まれます。その姿勢は周囲にも良い影響を与え、互いに支え合う雰囲気を生み出し、結果として組織全体の結束力を高めます。
結束力が高まれば、信頼関係に基づく協力体制が自然と生まれ、事業の質や完成度も向上します。これこそが組織力が強化される仕組みです。いせさきまつりは規模の大きさや責任の重さゆえに、多くのメンバーが関わる事業です。その過程で役割分担や協力体制が築かれ、組織全体が鍛えられていきます。
いせさきまつりは市民の笑顔を生み出す場であると同時に、私たち自身の組織力を磨く貴重な機会です。入会間もないメンバーから経験豊富なメンバーまで全員が力を合わせ、事業を成し遂げることで、より強固で信頼される組織へと成長していくことができます。私はこの伝統事業を活かし、全メンバーが成長を実感できる一年とすることで、未来に繋がる伊勢崎青年会議所を築いてまいります。
【応用力が未来をひらく】
現代は新しい技術や価値観が次々と生まれ、変化のスピードがかつてないほど加速しています。文部科学省の調査によれば、義務教育段階では一人一台の端末が整備されるなど、学びの環境は大きく進化しています。しかし、どれだけ環境が整っても、それを活かし、自らの可能性を広げていくのは子どもたち自身の力です。
これからの時代を生き抜くために必要なのは、ただ知識を身につけることではありません。与えられた情報を受け取るだけでなく、自分の頭で考え、判断し、行動へと移していく力です。私はこの力こそが応用力であり、子どもたちが未来を切り拓いていくための最も重要な力だと考えています。
応用力は、突然身につくものではありません。物事を筋道立てて考える論理的思考力や、他者の気持ちを想像して共感する力、そして困難に立ち向かう挑戦心といった人間としての基盤があってこそ、初めて自分の可能性を広げることができます。こうした力を身につけることで、子どもたちは学びを「自分ごと」として捉え、自発的に考え、判断し、行動する姿勢を育んでいきます。
私たち青年会議所は、こうした生きる力としての応用力を子どもたちに育んでもらうための学びの機会を提供します。それは、学校の延長線上にある知識の習得ではなく、自らの意思で考え、動き、挑戦する力を育てる場です。応用力を備えた子どもたちは、変化の激しい時代の中でも自分の未来を自分で選び取り、自分らしい人生を歩んでいけるでしょう。
【子どもたちが想像する未来】
現代社会は、常に新しい技術や概念が生まれ、今ある仕事が10年後には大きく姿を変えている時代です。私が子どもの頃には存在しなかった新しい職業としてYouTuberやインフルエンサーが登場し、今では子どもたちの憧れの対象になっています。こうした新しい職業が増えることは、社会の変化が子どもたちの描く未来にまで影響を与えていることを物語っています。
このように社会は急速に変化しており、未来を正確に予測することはとても難しい時代です。新しい産業や職業が生まれる一方で、これまで当たり前だった仕事が姿を変えたり、消えていく現実もあります。
未来は誰かに与えられるものではなく、私たち一人ひとりが主体的に選び取り、築いていくものです。だからこそ、子どもたちが未来を考えるときに、正解は一つではなく、多様な道があるという視点を持ってほしいと考えます。
私たちは、子どもたちがより、リアルな働くということを肌で感じ、実際に触れる機会を提供します。たとえその仕事が将来大きく変化するとしても、その体験を通じて働くことの本質や社会とのつながりを学ぶことができます。そして、その学びは単なる仕事の理解にとどまらず、自分がどのように生きたいのか、どのような社会を創りたいのかといった未来そのものを描く力へとつながっていきます。子どもたちが今は存在しない仕事、まだ形になっていない生き方までも想像できるようになれば、それは大きな可能性を広げることにつながります。
未来を選ぶというのは、単に職業を選択することではありません。自分の価値観を見つめ、どんな仲間と協働したいか、どのように地域や社会と関わりたいかを考えることでもあります。働くことをきっかけにして、未来を描く力を子どもたちに育んでもらいたいのです。私たち伊勢崎青年会議所は、その一歩を踏み出す学びの機会を創り、子どもたちが自らの未来を描き、希望を持って選び取っていけるような機会を提供してまいります。
【結びに】
いつの時代も、常に先頭を走り続ける青年会議所であり続けること。それが、この伊勢崎の地で青年会議所運動を継続していく私たちの使命だと考えます。
長きにわたり多大なるご理解とご協力を賜りました、行政、諸団体をはじめとする地域の皆様に心より御礼を申し上げます。これまで伊勢崎青年会議所が運動を続けてこられたのは、地域の皆様のお力添えのおかげにほかなりません。
そして、これからの10年、20年先を見据え、伊勢崎青年会議所が地域に根差した団体として持続的な運動を展開していくためには、会員一人ひとりの熱い想いと、ご協力が不可欠です。この1年間全てのことが、決して私一人の力では成し遂げられません。青年会議所運動は、私たちの手で創り、次の世代へとつなぐものです。
2026年度、私はこの愛する伊勢崎青年会議所の第63代理事長という役職をお預かりし、全メンバーと共に、挑戦と変革を恐れることなく、未来を切り拓く青年会議所運動を展開していくことをお誓い申し上げ、私の所信とさせていただきます。
※1:伊勢崎市の人口統計: 令和7年12月1日時点 伊勢崎市人口統計
https://www.city.isesaki.lg.jp/material/files/group/24/20251203zinnkousetai.pdf