2020年度 理事長所信

【はじめに】

第57代理事長
井野 伯俊

 伊勢崎青年会議所に入会したことが私にとって転機となりました。入会以前の私は、伊勢崎市にどの様な団体があるのか、存在すらも知らない無知な人間で、失敗を恐れるあまりに人と関わることや団体に属することを避け続け、常に単独で行動する日々を過ごしてきました。

 その最中、2011年3月11日に東日本大震災が日本を襲いました。日々繰り返される被災地の映像や津波の被害を目の当たりにして、被災地への支援ができないかという気持ちが芽生えました。しかし、当時の私には、行動に移す勇気や行動力もなく、共に行動する仲間も居ませんでした。そんな不甲斐ない想いを抱えていた所に、伊勢崎青年会議所を紹介されました。見学に行くと当時のメンバーから東日本大震災が起きた際に、団体として真っ先に支援に動いたことを聞き、「これだ」と思い入会を決意しました。当時を振り返ると、自分自身を変えるため、仲間が欲しいと機会を待っていたようにも思えます。

 青年会議所には、個人の考えや行動を変える力があります。それは、当時の私からは想像できない程に、自分自身が変わっていることで実感しています。しかし、実感できるようになるまでには、仕事との両立が負担となり悩んだ時期や、役職を担ったことで責任という重圧を感じ、多くの失敗がありました。ただ、その後も役職を担い続ける中で、やりがいを感じている自分がいました。失敗を恐れ、人と関わらず、団体に属することを避けてきた私が、行動を共にする多くの仲間に恵まれ、要職を担い職務を全うするべく活動するなかで私自身の変化に気づき、伊勢崎青年会議所への恩返しと、伊勢崎市のために尽力したいという想いから立候補を決意しました。この経験を伝えるために、失敗を恐れることなく理事長としての職務を全うするべくさらに挑戦を続けます。

 青年会議所の運動は、仲間がいるからこそ実現できる運動で、メンバーの協力が必要不可欠です。青年会議所の活動は時に負担となりますが、活動を続けることで気付きや得られるものが必ずあり、挑戦もせずに諦めるより、挑戦を続けることが個人や組織の成長に繋がります。地域や子どもたち、メンバー自らの未来を築くために、共に手を取り合い挑戦を続けましょう。

【いせさきまつりを通じて】

 いせさきまつりは、山車や屋台、みこしの競演、郷土芸能、大抽選会など様々なイベントが行われ、地域や年齢を問わず多くの人で賑わい、交流を生んできた伊勢崎市を代表する伝統あるお祭りです。

 いせさきまつりのイベントの一つとして、伊勢崎市から子ども向け広場の設営依頼を受け、1980年に「なかよし広場」として設営をスタートし、老若男女が集い楽しめる現在の「おまつり広場」と名称を変えつつ、伊勢崎青年会議所が「いせさきまつり」に携わり続けて、2020年度で40年目を迎えます。また、2005年の合併を機に、2006年に青年3団体の呼び掛けで始まった「百人みこし」は15年目を迎えます。徐々に規模が大きくなり、現在では神輿団体、とび職組合、協力企業と連携して、いせさきまつりのメインイベントとなる事業にまで成長しました。

 2020年度では、経験豊富なメンバーを基軸としたプロジェクトを立ち上げ、新入会員や入会年数の浅いメンバーを多く起用したプロジェクトチームを編成し、「おまつり広場」「百人みこし」の設営にあたります。企画設営に携わることで、やりがいや楽しさを感じて貰い、メンバー間や関係諸団体との連携から絆を育み、いせさきまつりを青年会議所活動に対する意識変革のターニングポイントとし、参画意識の向上と次代を担うメンバーの育成を図ります。また、先輩方が長きにわたり紡いできた伝統と築き上げてきた信頼を受け継ぎ、伊勢崎青年会議所の総力と関係団体との強固な連携で、誰もが安心安全かつ全力で楽しめる「おまつり広場」「百人みこし」を実現し、いせさきまつりを盛り上げるとともに、行政、関係諸団体、地域からの期待に応えることで、さらなる信頼を築き上げます。

【次代へ繋ぐ会員拡大】

 近年、伊勢崎青年会議所では会員拡大に力を入れ取り組んでいますが、なぜ会員拡大を継続して行う必要があるのでしょうか。それは、青年会議所の満40歳で卒業を迎えるシステムにより、会員拡大を怠ることは必然的に会員減少に繋がるからです。また、会員数は組織力に大きく影響します。なぜなら、青年会議所運動を実施する上での予算は、会員から徴収する会費が大半を占めており、会員数が多ければ予算と人的資源を投じた大規模な事業を展開することが可能になります。結果として伊勢崎青年会議所のPRに繋がり、顕在化されていない入会候補者を刺激し、入会を考えるきっかけを提供できます。また、多くの新入会員を迎え入れることで新たな感性が入り、組織の活性化が図れることで既存メンバーに刺激を与え、刺激を受けたメンバーは更に努力を重ね、定数が決まっている役職を巡り切磋琢磨する環境を生み出せます。組織に新たな風を吹き込み、活動力を高めるためにも、常に純増を目指す会員拡大を継続していくことが必要です。

 近年の傾向として、入会年齢の高齢化が進み平均入会年齢が35歳で、在籍年数が5年未満となり、青年会議所の魅力を実感するには、期間が短いように思います。しかし、20代や30代前半を多く迎え入れることができれば、青年会議所の魅力を充分に実感して卒業を迎えることで、広告塔として機能してくれる可能性が高まります。また、女性会員比率に目を向けると、日本の青年会議所全体では約8%に対して、伊勢崎青年会議所では約14%と平均値を超えています。女性会員が多く在籍することでのメリットは多岐にわたり、女性ならではの感性が組織に入ることで視野が広がり、女性でなければ対応できない問題に対処できることから、組織としての社会的信用度を高め、会員拡大への後押しにも繋がります。また、SDGsの開発目標にジェンダーの平等が掲げられていることや、入会対象年齢の青年が減り続けている現代で、活躍の場を求めている女性の力を取り入れ、さらに女性会員比率を伸ばしていく必要があります。併せて、中長期的ビジョンの会員拡大として、事業等で青年会議所のPRを意識的に行い、メンバーが参加者からどのように見られているのかを意識し設営に臨むことが、次代へ繋がる会員拡大の種まきとなります。

 会員拡大を成功させるには、トップである理事長が率先して会員拡大に関わることが重要だと考えます。しかし、会員拡大を理事長や会員拡大委員会が行うという他力本願な考えが組織に蔓延していては、近い将来に会員拡大の限界を迎え会員減少に至るでしょう。だからこそ、メンバーを巻き込み、会員拡大を組織の運動として昇華させます。

 会員拡大委員会の役割としては、如何に多く入会候補者の情報を収集できるか、入会候補者の情報と見学から入会までのプロセスを管理し、司令塔として機能することが求められます。しかし、主要会議参加メンバーからの情報提供は既に停滞しつつあり、幅広いメンバーからの情報収集が必要で、今後の会員拡大では、入会間もないメンバーからの情報提供が鍵になります。そのためには、入会間もないメンバーから情報を提供して貰うにはどうするべきか、どうすれば入会候補者を紹介し易くなるのかを模索し、試行錯誤を繰り返すことで最良な方法を見出し、情報収集能力を高めていきます。また司令塔としてメンバーの士気を高め、協力を仰ぐことで、会員拡大に対する当事者意識を根付かせ、会員拡大を組織の運動として実行していくことが必要です。

 今年度は13名が卒業を迎えますが、情報収集と司令塔としての役割を実行し、次代に繋ぐべく30名以上の入会を目標に掲げ、100人LOMを目指して会員拡大運動を推し進めましょう。

【飛躍するための会員資質向上】

 伊勢崎青年会議所では会員拡大に力を入れ取り組んできたことから、入会3年未満のメンバーが大半を占めるメンバー構成となり、次代を背負っていくメンバーのJAYCEEとしての資質を向上し、組織力の底上げが急務となっています。

 JAYCEEとしての資質は、JAYCEEとして守るべき行動規範を遵守し、組織やメンバーを尊重し、責任感や使命感を持って行動できることです。先ずは守るべき行動規範を、JCプロトコルに基づき改めて学ぶ機会が必要です。JCプロトコルに基づいた守るべき行動規範を遵守することは、我々がJAYCEEとして在るべき姿を維持するための、慣習や身だしなみ、外交儀礼を身につけることに繋がります。これらは、対外に発信を続ける伊勢崎青年会議所にとって重要であり、対外からの評価に大きく影響します。これらの素養を身につけることで、我々が品格ある青年団体として運動を展開していることを自負し、その自負が役職に応じた自覚となり、自覚を責任感や使命感を持った行動に変えられれば、JAYCEEとしての資質向上は自ずと図れるでしょう。

 また、組織力の底上げを図るうえで、メンバー同士が敬意と感謝の気持ちを忘れてはいけません。青年会議所で役職を担うことは相応の覚悟が必要で、重圧を受けながら時間と労力を使い職務を全うします。役職を担うメンバーに敬意を払わず軽視するようなことがあれば、意欲的に役職を担うメンバーが減り続け、組織力の底上げを図る以前に、組織力を引き下げる事態に成り兼ねません。反対に、役職を担うメンバーは敬意を払われる存在として、模範となるべく努力を重ね、常に謙虚な姿勢で、協力に感謝することを大切にするべきだと思います。お互いが敬意を払うことで、絆や連携が生まれ意思の疎通が図れ、人間関係や委員会運営が円滑になり、自身や組織のモチベーション向上に繋がることから、組織力の底上げを図るために、メンバー同士が尊重し合い、意欲的に役職を担おうとする組織を目指していきます。

 信頼を寄せる伊勢崎青年会議所のメンバーが、JAYCEEとしての高みと、伊勢崎青年会議所の更なる飛躍を目指しともに研鑽していければ、伊勢崎会議所の未来を担うメンバーの資質向上と組織力の底上げが図れ、3年後に控える創立60周年を盤石な組織で迎えられるとともに、近い将来に大きく飛躍できると信じています。

【持続可能なまちを見据えて】

 我々が生活する伊勢崎市は、宮郷工業団地の企業誘致や外国人労働者増加に伴い、人口が21万人を超え、人口増加率は県内では有数の伸び率を誇っています。平成24年から平成31年までの推移(伊勢崎市HP人口世帯表より※1)として、日本人の人口は約690人(約0.3%)減少しているが、外国人の人口が約2,900人(約28.7%)増加しています。世帯数は、日本人世帯が約6,900世帯(約8.9%)増加し、外国人世帯が約1,900世帯(約43.6%)増加しています。伊勢崎市の合計特殊出生率は1.4人~1.5人未満で推移し、生産年齢人口は減少、老年人口は増加を続けています。人口減少社会が叫ばれる現代で、伊勢崎市の人口増加の背景には、外国人労働者による人口増加や外国人世帯数増加が要因にあり、外国人労働者を受け入れるうえで、雇用先や住環境が整っていることが窺えます。

 伊勢崎市が人口や経済を維持していくうえで、外国人労働者の雇用や定住が今後さらにウエイトを占めることが予想されます。工業が盛んな伊勢崎市において、外国人との共生が高いレベルで先駆的に実現できれば、生産人口減少や経済の維持において多大な貢献が期待できます。しかし、外国人と日本人が伊勢崎市で共生していくには言葉や文化、価値観の違い等の様々な問題を解決していく必要があります。共生していく中で双方が抱える問題の根底は何か、双方が歩み寄り伝えたいことは何かを考え共有していくために、伊勢崎青年会議所で解決の糸口を模索していきます。国籍や文化の壁を越えた高いレベルの共生を実現し、伊勢崎市が多文化共生のロールモデルとなれれば、少子高齢化や人口減少が叫ばれる現代においてカンフル剤となるでしょう。

 また、人口の減少を防ぎ持続可能なまちを目指して、市民とともに伊勢崎市の新たな魅力を創造したいと考えています。新たな魅力の創造という共通の目標に向かい協働できれば、まちの現状を改めて見つめ直す機会となり、魅力を創造するべく意見を交わすことで伊勢崎市を想い考える素養が育まれ、まちに愛着を感じて貰えるでしょう。伊勢崎市を想い考える気持ちがまちに広がり、まちに愛着が持てれば、まちを良くしたいと思う郷土愛が生まれます。その先で創造された新たな魅力を活用できれば、魅力の発信となり伊勢崎市に対しての評価を上げるでしょう。ひいては、新たな市民を迎え入れることに繋がり、持続可能なまちの足掛かりになるはずです。

【青少年の健全な心を育む】

 子どもが育つ過程で親の存在は大きく、第1の教育として家庭教育を充実することが、子どもの性格や人格形成に大きく影響します。しかし、核家族化が進み共働き世帯が増加するなどの要因から、子どもと過ごす時間は減少傾向にあり、全国的な統計では、「家庭教育が低下している」「子どもと会話する時間が足りていない」(文部科学省参考資料「子どもの育ちをめぐる現状等に関するデータ集」より※2)と感じている保護者は少なくないようです。

 子どもは、親と同じ時間を過ごし自分が愛されていること、自分の存在意義を感じることで自己肯定感を高めていきます。自分自身を認めることで、他者を認めることができるようになるため、親とのコミュニケーションが人格形成に深く関わっています。また、親から愛情を受けて育った子どもは心が安定し、親が味方でいてくれると感じられることで、暴力的な行動や非行に走ることへの抑制に繋がります。しかし、多様な理由で親がいない子どもがいることも事実です。親がいなくとも、真剣に子どもを想い向き合う存在が心の支えとなり、親代わりとなり得れば、未来を見据えて歩き出せるはずです。親の有無に関わらず、子どもたちの健全な心を育み、幸せな未来に導くための手助けをしていきます。

 青少年育成では、目標を持つこと、結果を出すことを重視しがちですが、目標に向かうまでの過程に大切なことが多く含まれており、過程をしっかりと評価し褒めることが重要だと考えます。目標に向かうなかで楽しいことばかりではなく、時には挫折を味わうこともあります。しかし、諦めずに目標に向かう姿勢を評価し褒めてあげることで、継続していくことにやりがいを感じ、目標達成の後押しとなります。目標達成に至らなくとも、それまでの過程で評価されて、褒められる喜びを経験していることで、新たな目標に向かい再び努力してくれるはずです。また、目標に向かう過程で親や大人の関わり方も重要で、目標に向き合いともに成長できたら、目標に達した際の喜びは、子供が成長するうえで貴重な経験となるでしょう。

【結びに】

 青年が集い学べる最後の学校と称される青年会議所は、地域を牽引するリーダーを目指し活動できる環境と、今後の人生を左右しうる出会いと学びの機会を提供してくれます。その機会に自ら手を伸ばし挑戦するからこそ新たな自分に出会え、それは青年会議所だからこそ得られるものであると信じています。失敗を恐れることなく、チャレンジ精神を抱き、愛する地域のために、ともに邁進していきましょう。

 最後になりますが、公益社団法人伊勢崎青年会議所 第57代理事長として、2020年度が皆様にとって実り多き年となるよう、職務を全うしていくことをお誓いし、地域の皆様並びにメンバーのご理解とご協力、ご指導ご鞭撻を切にお願い申し上げ、理事長所信と致します。

1 伊勢崎市人口世帯表
出典:https://www.city.isesaki.lg.jp/shisei/isesaki/profile/4400.html

2 文部科学省参考資料「子どもの育ちをめぐる現状等に関するデータ集」
出典:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2009/03/09/1236114_3.pdf