2023年度 理事長所信

【はじめに】

第60代理事長
齋藤 宏平

 今から20年前の2003年、社団法人伊勢崎青年会議所40周年記念ミュージカル「パーフェクト・ファミリー!?」に演者として参加したことが、私の青年会議所運動との出会いでした。3カ月半にわたる稽古の末に辿り着いた本番は、出演者、メンバー、講師、保護者、更には他地域の出演者までもの熱い想いが凝縮された、何事にも代えがたい時間でした。この舞台は私が人生で初めて物事に本気で取り組んだ経験であり、その素晴らしい機会を与えて頂いたことに心から感謝しています。
 その中で1つ、今でも忘れられない光景があります。本番後の打ち上げで、いい歳をした青年会議所メンバーが抱き合って涙を流していたのです。当時高校生だった私は「物事 に真剣に取り組んで涙を流せる、こんな大人になりたい」強くそう思いました。

【創立60周年、当たり前ではない日々に感謝の気持ちを】

 公益社団法人伊勢崎青年会議所は本年度創立60周年を迎えます。有難いことに日々、充実した環境で運動を行うことができています。これは偏に、日頃よりご理解ご協力を賜ります地域の皆様、シニアクラブの皆様のおかげであると実感しています。
 そして、メンバーが絶対に忘れてはならないことがあります。それは、成長の機会を享受できることは当たり前ではないということです。今も青年会議所運動が行えているのは、先輩方が59年の長きにわたり地域で信頼を積み重ね続けた実績があるからです。そして自らを最も成長させる機会とは、地域を巻き込み、利他の精神をもって行う運動であり、地域の皆様のご協力なくしては成り立ちません。
 当会に関わるすべての皆様に改めて日頃の感謝をお伝えするとともに、益々地域で信頼を得られるよう運動を展開していく、そんな1年にしたいと考えています。

【未来に繋がる組織づくり】

JCI MISSION

To provide leadership development opportunities that empower young people to create positive change.
(青年会議所は、青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供する。)

JCI VISION

To be the foremost global network of young leaders.
(青年会議所が、若きリーダーの国際的ネットワークを先導する組織となる。)

 これらはJCI(国際青年会議所)が掲げる指針です。メンバーは青年会議所が提供する成長と発展の機会を活用し、地域や会社を牽引するリーダーになること、そして青年会議所は社会に貢献できるメンバーを輩出する団体であり続けることが重要です。しかし、当会の課題の1つに出席率の低さがあり、その機会を享受できないメンバーが多くいます。これでは、青年会議所の掲げるMISSION、VISIONを達成することができません。そして何より、メンバーの参加が無ければ運動を行うことができず、青年会議所運動は衰退の一途を辿るでしょう。メンバーの出席はすべての活動の根幹であり、今後はより多くのメンバーに出席を頂けるよう組織を整備していく必要があります。
 そこで何より大切にしたいことは、人と人との繋がりです。青年会議所の価値や魅力は言葉で説明して納得できるものではありません。何故ならば何に価値や魅力を感じるかは人それぞれであり、各自が活動に参加していく中で気付き、体感していくものだからです。そのためにも、まずは参加して頂くことが最優先です。誰しも帰属意識が低い組織の活動には乗り気になれないものです。また、知らない人ばかりの集まりに参加することに不安もあるでしょう。メンバー同士が繋がることで不安を払拭し自分の居場所を確立する、そのための気遣いや心遣いの積み重ねが参加率の向上に繋がり、成長を促し、会の価値を大きく向上させ、未来の発展に寄与すると信じています。

【いせさきまつりを盛り上げ、大いに活用しよう】

 当会が設営するおまつり広場は、いせさきまつりのメインイベントの1つと言っても過言ではありません。いせさきまつり協賛会から設営委託を受けていることは当会への信頼の証であり、責任をもって続けていくべきだと考えます。
 いせさきまつりは、特にメンバーが青年会議所の価値や魅力を感じやすい例会の1つです。その理由として、お囃子・神輿・神事など日本文化を感じ学べる場であること、地域で活動し貢献できていることを肌で感じられること、準備と片付けを含めて4日間あり一部でも参加がしやすいことなどが挙げられます。また何より貴重なことは、委員長以外のメンバーの「やってみたい」を実現できる数少ない場であることです。 やりたいことを自らの意志によって決定し実行する、このプロセスによって生み出される責任感、達成感、自信は大きく人を成長させます。これは通常1年かけて行われる委員長の成長プロセスですが、いせさきまつりの部会長は入会間もないメンバーがおまつり広場や百人みこしの設営を通して、短いスパンで同じプロセスを経験できる貴重な機会なのです。それ故にいせさきまつりは若手の登竜門と言われており、この設営をきっかけに青年会議所運動を好きになるメンバーも少なくありません。故に2020年、2021年と2年連続でいせさきまつりが開催できなかったことは、メンバー育成において大きな痛手でした。
 そして遂に昨年、3年ぶりにいせさきまつりが開催されました。2年間の中止によりいせさきまつりに参加したことが無いメンバーが多い中でも、部会長を中心に企画設営を行い、大成功を収めることができました。何より入会間もないメンバーから「自分も部会長をやってみたい」という声を聞けたことが収穫であり、改めていせさきまつりが当会にとってどれほど重要な事業であるかを実感しました。ただし2年間のブランクは大きく、事業構築や設営がスムーズにいかず、例年以上の大きな苦労があったことも事実です。入会間もないメンバーがより効果的に成長の機会を享受できるよう、準備と学びの機会を提供したいと考えています。
 古くからお祭りは地域住民の交流と繋がりを作り、コミュニティーの潤滑油として機能してきました。そして今も尚、その役割を担っていると私は考えます。伊勢崎市のため、我々の成長のため、伊勢崎青年会議所の未来のため、いせさきまつりを大いに盛り上げましょう。

【会員拡大のために、まずは我々が魅力的になろう】

 青年会議所は地域で活躍できるリーダーを輩出し、明るい豊かな社会の実現に寄与する団体であり続けなくてはなりません。そのためには充実して活動できる環境を整える必要があり、メンバーの拡大は最重要事項の1つです。近年は比較的多くの新入会員を迎えることができていますが、先述した通り出席率に関しては課題が残ります。今後は会員拡大と出席率向上を両立させていく必要があり、その2つに共通して言えることは青年会議所の活動、メンバーを魅力的だと思って頂くことが重要だということです。
 人は基本的に、自分が良いと思うものしかお勧めしませんし参加もしません。それは青年会議所の会員拡大と出席も同じことです。多くのメンバーを巻き込み会員拡大を行うためには、まずは我々自身が魅力的でなくてはなりません。類は友を呼ぶとはよく言ったもので、魅力的な団体、魅力的な人材のもとにしか人は集まらないと私は考えています。そのためにもまずは自分を見直し、学ぶ機会を作っていきたいと思います。
 では、魅力的な人材とはどのような人のことでしょうか。私は、短所よりも長所が際立っている、「あの人のようになりたい」と思ってもらえる人のことだと考えています。人には必ず得意不得意があり、時には失敗もします。しかし、それ以上に自分の得意を活かし活躍ができれば、その不得意は「個性」として受け入れられます。お互い個性を持った人間であると認め合い、許容したうえで、メンバーが思う存分活躍でき、魅力的な人材に成長できるような環境を整えましょう。そして、メンバー自身の魅力で、また、魅力あるメンバーが集まる団体として新入会員を獲得できる、そんな青年会議所を目指しましょう。

【これからを生きるうえで大切なこと】

 近年、ダイバーシティという言葉を度々耳にするようになりました。その背景には、少子高齢化などによる労働力人口の減少、価値観の多様化、人材の流動性の高まり、ビジネスのグローバル化など、急激な社会環境の変化があります。経済産業省は2017年「多様な属性の違いを活かし、個々の人材の能力を最大限引き出すことにより、付加価値を生み出し続ける企業を目指し、全社的かつ継続的に進めて行く経営上の取組」をダイバーシティ2.0として改めて定義しました。(※1)今後は個の特性を活かし社会に貢献することが求められますが、これは、個人の特性や能力によって明確に差が出る世界でもあります。あなたはどんな人間ですか、どんな背景がありますか、どんな価値を創造できますか、そう問われる機会が増えるはずです。
 だからこそ、自分の人生をどう生きるのかがより重要になってきます。無限の可能性や選択肢がある中、自分の頭で考え行動することでしか自己の確立はできません。そしてその決断と行動の積み重ねが糧となり、人としての魅力を少しずつ増幅させ、10年、20年経った時に大きな差として現れるのです。その重要性を理解し納得して日々の生活を送ることが、これからの時代を生きるうえで重要なことだと考えます。本年度はその大切さを感じられる機会を提供していきたいと考えています。
 あなたはどんな人間ですか、どんな人間になりたいですか、その理想に近づくために日々何に取り組んでいますか、これからの人生をどう生きたいですか、明日の自分は今日の自分より素敵だと言えますか、自らと真摯に向き合い、一日一日を大切に過ごせるよう共に学んでいきましょう。

【結びに】

 社会は人によって作られ、運営されています。社会を良くするのも、悪くするのも人であり、社会が変わるきっかけも人によって作られます。社会を変えるためには多くの人の心を動かす必要があり、それは「この人が言うのなら」と思われる人材にしか実現できません。「何を言うか」よりも「誰が言うか」が重要です。しかし当然ながら、実力の伴わない人間の発信では社会をより良い方向に導くことはできません。青年会議所の掲げる明るい豊かな社会の実現には、リーダーシップ、魅力、能力を兼ね備えた人材が必要不可欠です。当会のメンバーが将来、社会により良い変革をもたらすことができる人材となれるよう、1年間全力で運動に邁進したいと思います。
 結びになりますが、59年間もの長きにわたり多大なるご理解とご協力を賜りました、行政、諸団体をはじめとする地域の皆様に心より御礼を申し上げますとともに、公益社団法人伊勢崎青年会議所の発展とメンバーの成長をもって、益々地域に貢献することをお約束申し上げ、第60代理事長所信とさせていただきます。

資料1:
経済産業省ホームページ「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」(2018年6月8日改定)
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180608001_3.pdf